はじめに
かつての卒業式では、「仰げば尊し」や「蛍の光」が定番の合唱曲でした。
しかし、近年ではこれらの歌を歌う学校が減り、代わりにJ-POPの卒業ソングや学校独自の合唱曲が選ばれることが多くなっています。
なぜ、これらの伝統的な卒業ソングが姿を消しつつあるのでしょうか。

「仰げば尊し」が歌われなくなった理由
「仰げば尊し」は、明治時代から長く歌い継がれてきた卒業式の定番曲でした。
この歌の歌詞には、教師への感謝の気持ちや、別れの寂しさが込められています。しかし、近年では歌われなくなってきています。
主な理由として、歌詞が古めかしくなり、現代の卒業生の心情と合わなくなってきたことが挙げられます。
「身を立て 名をあげ やよ励めよ」という歌詞は、昔の道徳観に基づいており、現在の教育理念とは必ずしも一致しないと考えられるようになりました。
また、楽曲そのものの知名度が下がり、先生や生徒が馴染みのある曲を選びたいという意見もあります。
「蛍の光」が歌われなくなった理由
「蛍の光」は、スコットランド民謡「オールド・ラング・サイン」に日本語の歌詞をつけた曲で、明治時代から卒業式で親しまれてきました。この曲の歌詞には、勉学への努力や別れの情緒が表現されています。
しかし、この曲も最近の卒業式ではあまり歌われなくなっています。
その背景には、元々の原曲が西洋の別れの曲であり、必ずしも日本の卒業式文化に根ざしていないことが挙げられます。
また、「仰げば尊し」と同様に、現在の卒業生にとって歌詞が時代に合わなくなっているという点も影響しています。
現代の卒業ソングの変化
近年の卒業式では、「旅立ちの日に」やJ-POPのヒットソングなど、より親しみやすい曲が選ばれる傾向にあります。
例えば、ゆずの「栄光の架橋」やEXILEの「道」、いきものがかりの「YELL」などは、多くの学校で卒業式の定番曲となっています。
これらの曲は、現代の卒業生の感性に合った歌詞であり、ポジティブなメッセージが込められているため、自然と選ばれるようになっています。
特に、「旅立ちの日に」は全国の学校でよく歌われるようになり、新たな卒業ソングの定番になりつつあります。
まとめ
「仰げば尊し」や「蛍の光」が卒業式で歌われなくなった背景には、歌詞の時代とのズレや、生徒たちの価値観の変化があります。
現代の卒業式では、より感情移入しやすく、前向きなメッセージを持つ楽曲が選ばれる傾向にあります。
伝統的な卒業ソングが歌われなくなった一方で、新しい時代に合った卒業ソングが生まれ、歌い継がれています。
卒業式の歌は、その時代の卒業生にとって一番響くものが選ばれるのかもしれません。