人間を襲うサメはいない?ホオジロザメの驚きの子育てとは?

はじめに

「サメ=人を襲う恐ろしい生き物」というイメージを持っている人は多いのではないでしょうか?
映画やニュースで取り上げられることが多いため、サメに対して恐怖を抱く人も少なくありません。
しかし、実際には世界に約550種類いるサメの中で、人間を好んで食べるサメは1種類も存在しないのです。
それどころか、ホオジロザメには、子どもを安全に育てるための驚くべき子育て方法があることが分かっています。
今回は、サメの生態とホオジロザメの独特な子育てについて詳しく解説します。

サメは本当に人を襲うのか?

人間を狙うサメはいない

北海道大学名誉教授の仲谷一宏さんによると、世界に550種類以上いるサメの中に、「人間を好んで食べるサメ」は存在しないそうです。
つまり、サメは本来、私たちを「獲物」として認識していないのです。

年間70~100件のサメによる事故が発生

しかし、国際サメ被害目録(ISAF)によると、世界では年間70〜100件ほどのサメによる事故が報告されています。
では、なぜ人間がサメに襲われる事故が発生するのでしょうか?

人間をアザラシやオットセイと間違える

サメがよく捕食する動物のひとつに、アザラシやオットセイがいます。
仲谷さんによると、サーフィン中の人間がサメの視点から見ると、アザラシやオットセイのシルエットに似ているため、誤って襲ってしまうことがあるのだそうです。

また、サメは色覚がないため、泳ぐ人間とアザラシの見え方を比較すると、驚くほど似ていることが分かっています。
そのため、特にサーフィン中や海水浴中にサメと遭遇すると、サメが「誤認識」して噛みついてしまうケースがあるのです。

日本近海にいるサメの種類と危険性

日本の海には約130種類のサメが生息していますが、そのうち人間を襲う可能性のあるサメはわずか5%程度です。
特に、以下の3種類は、誤って人を襲う可能性があるとされています。

  • ホオジロザメ(ホホジロザメ)
  • イタチザメ
  • オオメジロザメ

ただし、こちらから攻撃したり、捕まえようとしたりしない限り、サメが人間を積極的に襲うことはほとんどありません。
また、これらのサメも「人間を獲物として狙っているわけではない」という点は覚えておきましょう。

ホオジロザメの驚くべき子育て方法

ホオジロザメは、世界最大級の肉食サメであり、非常に優れたハンターですが、実は母親はとてもユニークな方法で子どもを育てることが分かっています。

卵を子宮内でふ化させる

ホオジロザメの母親には子宮があり、普通の魚のように卵を産むのではなく、母親の体内で卵をふ化させる「胎生」という方法を取ります。
これは、赤ちゃんザメが外敵に襲われるリスクを減らすための進化だと考えられています。

子宮の中で「ミルク」を作る

母親の子宮の壁には特殊な細胞があり、この細胞がミルクを作り出すという驚きの仕組みを持っています。
ミルクが溜まると、細胞を破裂させて子宮の中にミルクを満たし、赤ちゃんザメに栄養を与えるのです。
この方法により、ホオジロザメの子どもたちは、生まれる前からしっかりと栄養を摂取することができます。

離乳食は「無精卵」

ミルクだけで育てた後、今度は母親の卵巣が食べやすいサイズの「無精卵」を作り、子宮に送り込みます。
赤ちゃんザメはこれを食べることで、さらに成長していくのです。

生まれるときにはすでに1m以上の大きさに!

こうした特別な子育て方法によって、ホオジロザメの赤ちゃんは生まれるときにはすでに1m以上、体重30kg以上に成長しています。
生まれた瞬間から強く、大きな体を持つことで、海の中での生存率を上げる工夫がされているのです。

研究者によると、体長1mを超えると外敵に食べられる確率が減るため、あえて大きくなってから生まれることで生存率を上げていると考えられています。

サメの被害に遭わないためには?

サメの多くは人間を襲わないとはいえ、海で安全に過ごすためには、サメを刺激しないことが大切です。
以下のポイントを守ることで、サメと遭遇するリスクを減らすことができます。

  • 反射で光るアクセサリーや時計を外す(光が魚のウロコに見え、サメの注意を引く)
  • 夕方や早朝の海には入らない(サメが活発に活動する時間帯)
  • 仲間と一緒に泳ぐ(単独行動よりもグループの方が安全)

特に、人間のシルエットがアザラシに似て見えるサーフィン中は注意が必要です。

まとめ

サメは「人を襲う恐ろしい生き物」というイメージを持たれがちですが、実際には世界に550種類いるサメの中で、人間を好んで食べるサメは1種類も存在しません。
多くの事故は、サメが人間をアザラシなどと誤認してしまうことが原因です。

また、ホオジロザメには母親の体内でミルクを作り、赤ちゃんザメを大きく育ててから産むという驚きの子育て方法があることが分かっています。
サメは、私たちが思っている以上に賢く、興味深い生態を持つ生き物なのです。

「サメ=怖い」と決めつけるのではなく、正しい知識を持ち、安全に海を楽しみながら、サメの不思議な生態にも注目してみてはいかがでしょうか?

NHKヴィランの言い分を参考にしてください。

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