誹謗中傷で逮捕される条件とは?ネットのコメントにも法的責任がある?

はじめに

SNSやブログ、個人のサイトなどに誹謗中傷のコメントを書き込む人がいます。
しかし、インターネットだからといって「何を書いても自由」というわけではありません。
場合によっては、誹謗中傷を行った人が逮捕されたり、損害賠償を請求されたりするケースもあります。
では、どのような条件がそろうと「誹謗中傷で逮捕される」のか?
この記事では、その具体的な条件や法律について詳しく解説します。

誹謗中傷で逮捕される主な法律

誹謗中傷の書き込みは、以下の法律に違反する可能性があります。

侮辱罪(刑法231条)

特定の個人を公然と侮辱した場合に適用される罪です。

  • 例:「〇〇は頭がおかしい」「〇〇は最低な人間だ」など、明確な事実を示さずに相手を貶める表現
  • 2022年7月の法改正により、懲役刑が導入され、より厳しく処罰されるようになった

刑罰:

  • 1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金

名誉毀損罪(刑法230条)

公然と事実を摘示し、特定の個人の社会的評価を低下させた場合に適用される罪です。

  • 例:「〇〇は過去に犯罪を犯した」「〇〇は詐欺師だ」など、具体的な事実を挙げて信用を傷つける書き込み

刑罰:

  • 3年以下の懲役または50万円以下の罰金

事実が真実であっても、公共の利益にならない場合は罪に問われることがある

脅迫罪(刑法222条)

相手を脅し、不安を与えるような発言をした場合に適用される罪です。

  • 例:「お前を社会的に終わらせてやる」「住所を晒してやる」などの書き込み

刑罰:

  • 2年以下の懲役または30万円以下の罰金

業務妨害罪(偽計業務妨害・威力業務妨害)(刑法233条、234条)

相手の業務を妨害する目的で虚偽の情報を拡散したり、威力を加えたりした場合に適用される罪です。

  • 例:「〇〇の会社は違法行為をしている」と嘘の情報を流す
  • 例:「〇〇の店に苦情の電話を大量にかけよう」と扇動する

刑罰:

  • 3年以下の懲役または50万円以下の罰金

逮捕される条件とは?

誹謗中傷コメントを書いたからといって、すぐに逮捕されるわけではありません。
逮捕に至るためには、以下のような条件が関係してきます。

1. 被害者が被害届を出す

警察が動くためには、被害者が「被害届」または「告訴状」を提出する必要があります。
被害者が通報しない限り、警察が積極的に捜査することは少ないです。

2. 悪質性が高い

単なる意見や批判ではなく、相手を明らかに傷つける目的がある場合に、逮捕の可能性が高まります。

  • 繰り返し誹謗中傷を行う
  • 相手の個人情報を晒す(いわゆる「特定」行為)
  • 相手に実害を与えるような行為をする(仕事や生活を妨害する)

3. 捜査により書き込んだ人物が特定される

インターネットの匿名性は完全ではなく、警察や弁護士が手続きを行えば、プロバイダ(通信会社)からIPアドレスを取得することで加害者を特定することが可能です。
被害者が弁護士を通じて「発信者情報開示請求」を行い、プロバイダに対して情報開示を求めることもあります。

4. 法律に違反していることが明らかである

誹謗中傷の内容が、名誉毀損・侮辱罪・脅迫罪などの法律に明確に違反している場合、警察が動きやすくなります。
特に、侮辱罪の厳罰化により、過去よりも逮捕されやすくなっています。

実際に逮捕された事例

近年、ネット上の誹謗中傷による逮捕事例が増えています。

  • 2022年:「SNSでの侮辱的な投稿を繰り返した男性が侮辱罪で逮捕」
  • 2021年:「有名人に対する誹謗中傷コメントを書き込んだ人物が名誉毀損で書類送検」
  • 2020年:「ネット掲示板に個人情報を晒し、脅迫的な書き込みを行った人物が逮捕」

逮捕されなくても損害賠償請求される可能性がある

たとえ刑事罰を受けなくても、民事訴訟によって損害賠償を請求されることがあります。
裁判で敗訴すれば、数十万円~数百万円の賠償金を支払わなければならないケースもあります。

誹謗中傷の被害を受けたときの対処法

もし、自分のブログやサイトに誹謗中傷コメントが書き込まれた場合は、次のような対応を取りましょう。

  1. 証拠を保存する(スクリーンショットを撮影)
  2. コメントを削除する or 非表示にする
  3. サイトの運営元やSNSの運営会社に報告する
  4. 弁護士に相談し、発信者情報開示請求を行う
  5. 警察に被害届を出す(悪質な場合)

まとめ

ネット上の誹謗中傷でも、名誉毀損・侮辱罪・脅迫罪などの法律違反に該当する場合、逮捕される可能性があることが分かりました。
特に、2022年の法改正により、侮辱罪の厳罰化が進み、より摘発されやすくなったため、ネット上の言動にはこれまで以上に注意が必要です。

「匿名だから大丈夫」と思っていても、警察や弁護士が動けば身元を特定されることは十分に可能です。
インターネット上でも、人としてのモラルを守り、相手を尊重する姿勢が重要です。

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