はじめに
パーティーグッズやイベントなどでよく見かける「ヘリウムガス」。吸うと声が高くなることで知られていますが、なぜヘリウムガスを吸うと声が変わるのか気になったことはありませんか?
また、楽しい演出として使われる一方で、ヘリウムガスには危険な側面もあるため、注意が必要です。
本記事では、ヘリウムガスを吸うと声が変わる理由と、その危険性について詳しく解説します。
1. ヘリウムガスを吸うと声が変わる理由
1-1. 音の伝わる速さが変わる
ヘリウムガスを吸うと声が変わるのは、音の伝わる速さ(音速)が空気と比べて異なるためです。
- 空気の主成分は窒素(約78%)と酸素(約21%)。
- ヘリウムは窒素や酸素よりも密度が低く、軽いガス。
- 空気中の音速:約 340 m/s
- ヘリウム中の音速:約 970 m/s(約3倍速い)
声帯が発する振動自体は変わりませんが、音波がヘリウムを通じて伝わることで、高い周波数の音が強調され、声が高く聞こえるのです。
1-2. 実際には声帯は変化していない
- 声帯自体は通常どおり振動している。
- しかし、ヘリウムによって音の伝達が速まり、声が甲高く聞こえる。
- 逆に、二酸化炭素など密度が高いガスを吸うと、音速が遅くなり、声が低く聞こえる。
2. ヘリウムガスを吸うことの危険性
2-1. 酸素不足による窒息のリスク
- ヘリウムガス自体には毒性はないが、酸素が不足することで窒息のリスクがある。
- 特に、大量に吸い込むと意識を失い、最悪の場合、死亡する危険性も。
2-2. 脳への影響
- 一瞬で酸素が不足すると、脳に十分な酸素が供給されず、めまいや意識障害を引き起こす。
- ヘリウムガスを吸った後に気を失うケースも報告されている。
2-3. 気胸や肺の損傷のリスク
- ヘリウムガスを無理に吸い込むことで肺に負担がかかり、気胸(肺が破れる病気)を引き起こす可能性がある。
- 特に、ボンベから直接吸引するのは非常に危険。
3. 安全に楽しむためのポイント
3-1. 風船用のヘリウムガスを使う
- ヘリウム100%のガスではなく、酸素が混ざった安全なものを使用する。
- 「声変え用ヘリウムガス」は酸素が約20%含まれており、安全性が高い。
3-2. 長時間吸い込まない
- 連続して何回も吸うと、酸素不足になるリスクが高まる。
- 1回吸ったら、しばらく呼吸を整えてから行う。
3-3. ボンベから直接吸わない
- 高圧のヘリウムガスボンベを直接吸うと、肺や気道にダメージを与える危険がある。
- 必ず安全な方法で使用することが重要。
まとめ
ヘリウムガスを吸うと声が変わるのは、音の伝わる速さが空気と異なるため、高い音が強調されるからです。
しかし、酸素不足による窒息や意識障害、肺への負担など、危険なリスクも伴います。
- 酸素が含まれた安全なヘリウムガスを使用する。
- 長時間・連続して吸わない。
- ボンベから直接吸うのは絶対に避ける。
安全な方法で楽しみながら、正しい知識を持って活用しましょう。