マリー・アントワネットは本当に悪い女性だったの?どうしてギロチンにかけられた?

はじめに

「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」という言葉で知られるフランス王妃マリー・アントワネット。
しかしこの言葉は彼女の言葉ではなく、ルイ15世の娘が発した言葉だとも言われています。
彼女は贅沢三昧で民衆を苦しめた悪女として語られることが多いですが、本当にそうだったのでしょうか? そして、なぜ彼女はフランス革命の最中にギロチンで処刑されることになったのでしょうか? 今回は、マリー・アントワネットの実像に迫ります。

マリー・アントワネットの生涯

1. オーストリア皇女としての誕生

1755年、マリー・アントワネットはオーストリア皇帝フランツ1世とマリア・テレジアの娘として生まれました。
彼女は、政略結婚によってフランス王太子ルイ16世と結婚することになります。

2. フランス王妃としての華やかな生活

1774年、ルイ16世が即位し、マリー・アントワネットはフランス王妃となりました。
ヴェルサイユ宮殿で贅沢な生活を送り、豪華な衣装や装飾品を身につけ、プライベートな離宮「プチ・トリアノン」で過ごすことが多かったといわれています。

3. 「浪費家」のイメージが定着した理由

彼女の贅沢な生活が庶民の間で問題視され、「王妃の首飾り事件」によってさらなる悪評を呼びました。
この事件は、マリー・アントワネットが高価なダイヤモンドの首飾りを購入したという疑惑が広がり、結果として彼女の評判をさらに悪化させました(実際には関与していなかったとされています)。

なぜ民衆の怒りを買ったのか?

1. フランスの経済危機

18世紀末、フランスは財政難に陥っていました。
特に、アメリカ独立戦争への支援により国庫が圧迫され、重税が庶民を苦しめていました。
一方で、王族は贅沢な暮らしを続け、マリー・アントワネットは「浪費家」として民衆の不満の的になりました。

2. 誤解とプロパガンダ

当時のフランスでは、反王政派が盛んに王妃を批判し、彼女を悪者に仕立て上げるためのプロパガンダが流布されました。
「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」という有名な発言も、その一環として作られたものとされています(実際には彼女が言った証拠はありません)。

3. 王室と庶民の乖離

フランスの王室は、長らく民衆と乖離した存在でした。
ヴェルサイユ宮殿という隔絶された環境の中で、王妃が庶民の生活を知る機会はほとんどありませんでした。
そのため、マリー・アントワネットが「庶民の苦しみを理解しない王妃」として嫌われるのは避けられない状況でした。

良き母親としての一面

マリー・アントワネットは、贅沢な暮らしをしていた一方で、母親としての役割を大切にしていたことも知られています。
彼女は子どもたちに深い愛情を注ぎ、自ら世話をしようとする姿勢を見せていました。
特に王宮の厳格なルールの中では子どもたちと一緒にいる時間が少ないからと、離宮プチ・トリアノンで子どもたちとできるだけ時間を共に過ごそうとし、教育や健康にも気を配っていたといわれています。

また、フランス革命で家族が引き裂かれた際には、最後まで母親としての責務を果たそうとし、子どもたちを守るために尽力しました。
こうしたエピソードから、彼女が単なる「浪費家」ではなく、家族を大切にする心優しい女性であったことがわかります。

なぜギロチンにかけられたのか?

1. フランス革命の勃発

1789年、フランス革命が勃発し、王政に対する反発が爆発しました。
ルイ16世とマリー・アントワネットは次第に追い詰められ、1791年にはオーストリアへの亡命を試みる「ヴァレンヌ逃亡事件」を起こしましたが、途中で捕まりました。

2. 王政廃止と裁判

1792年、フランスは共和制を宣言し、ルイ16世は処刑されました。
その後、マリー・アントワネットも革命政府によって反逆者として裁かれ、裁判では彼女がフランスの敵と通じていたとする証拠が提示されました。

3. 断頭台への道

1793年10月16日、マリー・アントワネットは「国家の敵」としてギロチンで処刑されました。
彼女の最期の言葉は、死刑執行人の足を踏んでしまった際に発した「ごめんなさい、わざとではありません」だったと伝えられています。

まとめ

マリー・アントワネットは、民衆から憎まれる存在となり、フランス革命の中で処刑されました。
しかし、その悪評の多くは誤解やプロパガンダによるものであり、必ずしも「悪い女性」ではなかったのです。

彼女は王族として贅沢な生活を送っていましたが、民衆を苦しめるつもりはなかったともいえます。歴史的な視点から見ると、彼女は「時代の流れに翻弄された悲劇の王妃」としての側面も強いのです。

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