はじめに
猫が妊娠中にさらに妊娠する、いわゆる「重複妊娠」という現象があると聞いたことがありますか?
これは自然界では珍しい現象ではありますが、猫やウサギなどの動物では確認されています。
また、猫の場合は父親が異なる子猫が同時に生まれることもあるのだとか。今回は猫の妊娠にまつわる不思議で興味深い話をご紹介します。

猫の妊娠の仕組み
発情期と多排卵
猫のメスは発情期が10日間ほど続き、その間に複数のオスと交尾することがあります。この行動は、妊娠の成功率を上げるために行われると言われています。
猫は多排卵動物で、一度の発情期に複数の卵子を排卵します。
- 交尾相手の選択: 通常は地域のボス猫と交尾することが多いですが、選択権はメスにあり、他のオス猫とも交尾することがあります。
- 複数の父親: 複数のオスと交尾することで、異なるオスの精子が卵子に着床し、父親の異なる子猫が同時に生まれることがあります。
重複妊娠とは?
猫の妊娠にはさらに驚きの事実があります。それは、妊娠中に再び発情期を迎え、新しい子猫を妊娠する「重複妊娠」という現象です。
- 原因: 妊娠ホルモンのレベルが低いと、妊娠中にもかかわらず再度発情期を迎えることがあります。
- 結果: 「最初の子猫」と「新しく受精した子猫」が母猫の胎内で共存することになります。
重複妊娠のリスク
重複妊娠は珍しい現象ですが、いくつかの問題が伴います。
未熟児の誕生
妊娠のタイミングが異なるため、「最初の子猫」を産むための陣痛によって、成長途中の「新しい子猫」も同時に産まれてしまうことがあります。
- 未熟児の問題: 新しい子猫は成長しきっていないため、生存率が低くなります。
- 母猫への負担: 一度に多くの子猫を抱えることで、母猫の体力的な負担が増します。
母乳の不足
母猫の乳首の数(通常は6〜8個)に対して、産まれる子猫の数が多すぎると、母乳の供給が追いつかない場合があります。
- 自然の摂理: ほとんどの動物は母乳が足りるように進化していますが、10頭以上の子猫が生まれる場合は例外です。
- 人工授乳: 子猫の数が多い場合、飼い主が人工授乳で補助する必要があります。
猫が複数のオスと交尾する理由
メス猫が複数のオスと交尾する理由には、子猫を守るための自然の戦略が関係していると考えられています。
- 子殺しの防止: オス猫が「この子猫は自分の子どもかもしれない」と思うことで、他のオスによる子殺しを防ぐ効果があると言われています。
- 遺伝的多様性: 異なるオスと交尾することで、子猫たちの遺伝的多様性が高まり、より強い個体が生まれる可能性があります。
まとめ
猫の妊娠には、私たちが知らない不思議なメカニズムが隠されています。多排卵動物である猫は、父親が異なる子猫を同時に産むことがあるほか、重複妊娠という珍しい現象も確認されています。
この現象は母猫や子猫にリスクを伴うこともありますが、自然界での生存戦略の一環といえるでしょう。
猫の妊娠について理解を深めることで、飼い主としてより良いケアを提供できるようになります。もし愛猫が妊娠した場合は、専門家のアドバイスを受けながら適切なサポートを行いましょう。