世界的に有名なオーギュスト・ロダンが制作したブロンズ像「考える人」を知っている人は多いかと思います。
右肘をついて沈思する青年の坐像です。
疑問になったことがある人もいるかもしれませんが、この「考えてる人」はなにを考えているのでしょうか?
オーギュスト・ロダン
近代彫刻の開拓者として名高いフランスの彫刻家であるオーギュスト・ロダンの作品「考える人」は彼の代表作です。
ロダンは粘土を使って複雑で激しく、懐の深い表面の模型を作る特殊な能力を持っていました。
ただ、彼の作品の多くは生涯に渡り批判を浴び続けました。
リアルすぎる作品
なぜ批判を浴びたかというと、ロダンの作品は神話といった伝統的な主題から離れ、個々の身体的な特徴などがリアルに表現されていたからです。
そういった、あまりにもリアルなために「実際の人間から型をとったのではないか?」と疑いをかけられるほどだったそうです。
晩年の1900年までに、ようやく名声を得るようになりました。
地獄の門の上で熟考し、地獄の火の海のなかで苦しむ人々の姿を見つめている
「考える人」はダンテの「神曲」からイメージして制作されました。
「神曲・地獄編」に想を求めて「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」の銘文でよく知られる「地獄の門」を制作することになり、その中央上部欄間に設置する要の像としてこの作品を構想しました。
「考える人」は地獄の門の上から地を見下ろし、瞑想している(地獄の火の海のなかで苦しむ人々の姿を見つめている)ダンテを象徴した像であり、元は「詩人」というタイトルだったそうです。
したがって「考える人」が考えていることは何かを考えているというわけではなく「ただ見下ろしているだけ」ということでした。
まとめ
有名なブロンズ像である「考える人」は地獄を見下ろしているだけであり、何か考えているというわけではないということがわかりました。
それならば、タイトルは「見つめる人」で良かったのではないかとも思います。