日本では「アルバイト・パート」や「正社員」という雇用形態があります。
アルバイトというと正社員ではなく短期間であったり、低賃金であったり、期間の定めのある契約で雇用される従業員のことを言い、多くの場合、時間給や日給で働くことを指したりします。
その「アルバイト」はどういった語源なのでしょうか?
「アルバイト」と「正社員」の違い
まずは、「アルバイト」と「正社員」の違いからみていきましょう。
雇用期間
雇用期間とは、会社に雇ってもらう期間のことをさします。
- 「アルバイト」
有期雇用で、働く期間が決まっています。ただし、更新制度があります。 - 「正社員」
無期雇用で、期間が定められておらず安定しています。
給料
- 「アルバイト」
時給制であり、時間を売っています。働けば働くほど収入も上がります。ただし、勤務年数や年齢を重ねても時給が上がることは殆どなく、ボーナスもありません。 - 「正社員」
月収や年俸制で、安定した収入が得られます。勤務年数や年齢を重ねると、昇給して徐々に収入が上がることが多いです。
勤務時間
- 「アルバイト」
基本はシフト制で、好きな時間に必要な勤務時間を選べます。生活スタイルの自由度が高いのがメリットです。 - 「正社員」
労働時間が定められており、基本的に8時間労働の週5勤務で、休日は固定されています。ただ、ある程度の期間働くと有給休暇が与えられます。
社会保険の加入
健康保険や厚生年金など、社会保険の適用を受けられるかの違いがあります。
- 「アルバイト」
勤務時間の条件によっては、社会保険に加入できることがあります。 - 「正社員」
必ず社会保険の適用が受けられます。
「アルバイト」はドイツ語で「Arbeit」から来ている
「アルバイト」はドイツ語の「Arbeit」からきています。
更に、日本で使用する「アルバイト」とドイツ語の「アルバイト」は意味やニュアンスが違います。
ドイツ語での「アルバイト」は労働全般を指し「仕事」の他に「業績」や「研究」という意味も含みます。
日本のように「臨時的な仕事」や「正社員にならずに今だけ稼ぐ仕事」「副次的な仕事」「内職」という意味合いを持っていません。
明治時代の隠語
なぜ、日本で「アルバイト」という言葉が広まったかというと、明治時代の学生のなかで使われていた隠語が一般に広まったと言われています。
明治期の文豪、坪内逍遥の小説「世書生気質」では書生という、実家から離れて血縁のない他人の家の一間に下宿して暮らす大学生の生活を活写している内容がメインに書かれています。
その書生達が、頻繁に外来語を口にしているのです。
その中に「アルバイト」という言葉が使われており、授業の後にお金目的の内職で家庭教師をする書生が多かったそうです。
その際
「僕はこれからアルバイトだ」
と表現されていたようです。
こうして、本来のドイツ語での「仕事」や「労働全般」の意味から「一時的な内職のような仕事」というニュアンスになったそうです。
まとめ
「アルバイト」の語源はドイツ語からきており、更にはドイツ語での意味と日本で使用される意味では大分違うことがわかりました。
ドイツでは、労働全般をさすことだったのですね。しかし、日本では正社員とは違って自由に働けるし、一時的な仕事として使われる風潮があります。
更には、明治時代から既に隠語として使われていたようで、学問が主にメインである書生という学生が、授業の後にお金を一時的に稼ぐ意味でアルバイトという表現をしていたこともわかりました。
そこから、副次的な意味や内職の意味で使われるようになりました。
確かに、高校生が学校が終わったあとに「これから仕事」と言うと違和感がありますね。