世界三大珍味といえばキャビア、フォアグラ、トリュフです。
そのなかでフォアグラは、フランス料理の食材の1つでありクリスマスや祝い事、宮廷料理や富裕層などに食されています。
フォアグラはガバージュ(強制給餌)を伴う残酷な生産方法を行っており、動物福祉の観点から様々な論争が起こっています。
残酷な生産方法とはどんな方法なのでしょうか?
そもそもフォアグラとは?
フォアグラとはフランス語で「脂肪」「肝臓」を表します。
フォアグラに使用されるのはアヒルとガチョウです。
フォアグラは、アヒルやガチョウの肝臓が肥大化したものであり、濃厚な味わいが魅力とされています。
前述したようにフランス料理の食材の1つであり、フランスが世界で1番フォアグラの消費量が多い国です。
更に他の三大珍味であるキャビアやトリュフよりも料理のバリエーションが多く、冷たい料理でも温かい料理でも使えてアレンジの幅が広いのが特徴です。
渡り鳥は、秋から春にかけて大量に餌を食べることで脂質を蓄えます。
それにより、鳥の肝臓が肥大化することを知った人間が、鳥の肝臓をコントロールして食用にしようと考えだしました。
フォアグラの生産方法
問題である生産方法です。
オスとメスの選別
卵から孵ったらすぐにオスとメスに分けられます。
フォアグラ用に飼育されるのは、基本的にオスです。メスの肝臓は静脈が多いので手間がかかるため、適していません。
その為、メスの雛はオスと選別された後に非情にも生きたままミンチにされたり袋詰されて窒息されて遺棄されます。
成長期
フォアグラに選ばれたオスは、広い屋外へと運ばれて牧草を食べて、成鳥となるまでの3ヶ月間過ごします。
しかし、この後に待っている強制給餌で過酷な肝臓肥大に耐えられるよう基礎体力をつけさせるためです。
監禁
成鳥になったオスは、一羽づつ身動きがとれない狭い小さい檻に拘束されます。
そのときに羽を広げることも立つことも向きを変えることもできずに、唯一できることといえば首を伸ばすことだけです。
これよりもマシな環境の場合は、囲いを使って数羽入れる農場もあるそうですが、最大の生産国であるフランスでは87%以上がこの監禁した方法です。
強制給餌
フォアグラの生産で1番重要な「強制給餌」です。
栄養となる餌を給餌装置で過度に与えて肝臓を肥大させる工程です。
強制給餌装置は、3秒間で約500グラム…つまり、ペットボトル1本分の餌を3秒間で流し込むことができます
餌はトウモロコシ、脂肪、塩などを混ぜた配合飼料であり、消化が良いように柔らかく蒸してありドロドロしています。
- 手で鳥の口を開けさせる
- 50センチの長さの鉄パイプを鳥の口に突き刺す
- 鳥の体の1/3〜1/4の量の配合飼料を強制的に流し込む
- 鉄パイプを引き抜く
- 胃は痙攣するが、自力で吐き出せないため嗚咽を繰り返す
この工程が1日に2回から3回行われ、3〜4週間続きます。
この方法では、確実に鳥の健康は破壊されます。3〜4週間で鳥の肝臓は標準サイズの10倍に膨れ上がります。
肝臓が他の器官を圧迫し、呼吸困難を起こして息をすることが難しい状態です。
更に、従業員たちは自身に課せられた作業をより早く終わらせようとして強引にパイプを押し込んでいくので、食堂に穴が空いてしまったりクチバシが折れてしまうこともあります。
屠殺
そんな環境を生き抜いた鳥たちの最後に待っているのは「失血死」です。
逆さに吊るされ、生きたまま喉を切り裂かれます。
その後、肥大化したフォアグラとなった肝臓を取り出されるのです。
フォアグラ生産者の言い分
このような残酷な生産方法から、フォアグラの生産を禁止している国が沢山あります。
しかし、フォアグラ生産者は
「数100年前から伝わる製法であり、鳥たちに害はない」
「渡り鳥なので元来栄養を溜め込むものだし、苦痛ではないし苦痛ならいいフォアグラにならない」
と主張しています。
しかし、実際フォアグラに使用されている鳥はガチョウやアヒルであり、移住のために渡りを行いません。
よって、渡りの機能をもたない鳥がフォアグラに使用されていることを示しているのです。
また強制給餌による鳥の苦痛に関しては、複数の専門家や公的機関が鳥にとって有害であると結論付けています。
まとめ
今までフォアグラの生産方法を知らなかった人は、この生産方法を知って驚かれたのではないでしょうか。
フォアグラに使用されるアヒルやガチョウは、強制給餌という残酷な方法で無理に餌を与えられ、肝臓を肥大化させられ最後は生きたまま喉を切り裂かれるのです。
卵から孵り、唯一幸せな日々は成鳥になるまでの3ヶ月間だけだと思うととても哀しいですね。
私たちは、毎日何かの命を犠牲にして生活しています。食物連鎖であり仕方のないことです。
しかし、生きる上で仕方のないことだと言いながらそれを通り超えて贅沢を求めた結果、残酷な生産方法を生み出してしまったことも事実としてあります。
そして、食事をいただくときに必ず「いただきます」という感謝の気持ちを込めることが改めて大切だと感じる機会になれば幸いです。