はじめに
人間関係において、なぜか距離を感じてしまう人がいると感じたことはありませんか。
近づきたいのに距離を取られてしまったり、親しくなるとそっけなくなったりする人の中には、いわゆる「回避型愛着スタイル」と呼ばれる性格傾向を持つ人がいます。
この回避型愛着スタイルは、幼少期の環境や育てられ方に大きく影響を受けるとされており、大人になってからの恋愛や対人関係にもその傾向が表れます。
この記事では、回避型愛着スタイルの特徴や、そうした人との関わり方について解説します。
回避型愛着スタイルとは
愛着スタイルとは、幼少期に養育者との関係性の中で形成される、人との関わり方の傾向を示す心理学的な概念です。
回避型愛着スタイルはその中の一つで、他者と深く関わることに不安や負担を感じる傾向があります。
このスタイルの人は、自立心が強く、感情を外に出すことを避ける傾向にあります。
他者に依存することを良くないと考えていたり、親密な関係になると心の中で壁を作って距離を保とうとします。
恋愛関係や親しい友情関係においても、距離が縮まりそうになると突然冷たくなったり、忙しさを理由に会うのを避けたりすることがあります。
恋愛面での特徴
恋愛において回避型愛着スタイルの人は、親密になることに対して無意識のうちに抵抗を感じることがあります。
恋人との関係が深まるほど、心の距離を保ちたいと感じたり、自由が奪われるような不安を覚えることがあるのです。
相手に対して本音を見せることが苦手で、愛情をうまく表現できなかったり、必要以上に冷静を装ってしまうこともあります。
また、自分の時間や空間を重視する傾向が強く、干渉されると息苦しさを感じることがあります。
一方で、根本には愛されたいという思いがあるため、相手の反応に敏感になりやすく、傷つくことを恐れて自分から一歩引いてしまうという矛盾した行動を取ることもあります。
どんな背景があるのか
回避型愛着の人は、子ども時代に親や養育者との安定した関係が築けなかったことが原因であることが多いといわれています。
たとえば、感情を表現しても無視されたり、甘えることが許されなかったりした経験が、自分の感情を抑え込む習慣を育ててしまうのです。
その結果、人との関わりにおいて「どうせ頼っても応えてくれない」という思い込みが根付き、他者に期待すること自体を避けるようになります。
関わるときのヒント
回避型愛着スタイルの人と良好な関係を築くためには、急がず焦らず、ゆっくりと距離を縮めていくことが大切です。
無理に感情を引き出そうとしたり、相手を責めるような態度は逆効果になることがあります。
本人にとっては、感情を見せることや誰かに頼ることがリスクのように感じられるため、安心して心を開ける環境をつくることが第一歩となります。
信頼関係が築かれれば、少しずつ本音を見せてくれるようになるかもしれません。
また、相手に依存しすぎない自分自身のあり方も大切です。お互いが程よい距離感を持って尊重し合える関係が、回避型愛着スタイルの人には心地よく感じられます。
まとめ
回避型愛着スタイルは、人との距離を保ちたがる性格傾向であり、決して冷たい人というわけではありません。
むしろ、過去の経験から他者に心を開くことに慎重になっているだけなのです。
恋愛関係では特に、その傾向が表れやすくなりますが、理解と配慮をもって関わることで、安心できる信頼関係を築くことが可能です。
こうした性格を理解し、焦らずに信頼関係を築いていくことで、より良い関係性を育むことができるでしょう。