はじめに
「生理」と聞くと、多くの人が人間の女性に特有のものだと思いがちですが、実は人間以外の動物にも月経に似た現象があることが知られています。
ただし、それはすべての哺乳類に共通するものではなく、ごく一部の動物に限られます。
この記事では、人間以外で生理のある動物と、そのしくみ、そしてなぜ一部の動物にしか見られないのかについてわかりやすく解説していきます。

生理とはどういう現象?
生理とは、正確には「月経」と呼ばれ、子宮内膜が剥がれて体外に排出される現象です。
排卵後、妊娠が成立しなかった場合にホルモンの変化によって起こるものです。
生理があるということは、排卵や妊娠の準備と密接に関わっており、繁殖に関する重要な生理現象の一つです。
ただし、月経として目に見える出血を伴うかどうかは、動物の種類によって異なります。
実際には、多くの哺乳類は子宮内膜を吸収することで対応しているため、外に出血として現れることは少ないのです。
人間以外で生理がある動物とは?
現在までに月経があると確認されている動物は、以下のような種類が知られています。
- チンパンジー
- ゴリラ
- オランウータン
- バブーン(ヒヒの一種)
- 一部のコウモリ
- トビウオの仲間の一種(特殊例)
これらの動物はいずれも霊長類に多く見られ、ヒトと同様に高度な社会性や行動様式を持っていることが共通しています。
また、繁殖周期が長く、子宮内膜が発達していることも月経の発生に関係していると考えられています。
なお、イヌやネコなどが出血するのは、実際には「発情期の兆候」であり、月経とは異なるものです。
彼らの場合はホルモンの影響で分泌物が見られることがありますが、子宮内膜が剥がれて排出されるわけではありません。
なぜ限られた動物にしか生理がないのか
月経がある動物は全体の哺乳類の中でも非常に少数です。これは、エネルギー効率や繁殖方法の違いによるものと考えられています。
多くの哺乳類は妊娠が成立しなかった場合、子宮内膜を再吸収して無駄なエネルギーの消費を避けます。
一方で、ヒトや霊長類の一部では、受精卵が着床しやすいように子宮内膜が厚くなるため、それを剥がして排出する必要があるのです。
また、社会的な行動や進化の過程でこうした月経の仕組みが残ったのではないかという説もあります。
まとめ
生理は人間だけのものではなく、チンパンジーやゴリラ、コウモリなど一部の動物にも見られます。
ただし、それは哺乳類の中でもごく限られた存在であり、大多数の動物は月経の代わりに子宮内膜を再吸収するメカニズムを持っています。
月経という現象は、単なる生理的な出来事ではなく、動物の進化や繁殖戦略とも深く関わっているものです。
身近な動物の身体のしくみを知ることで、生命の多様性に対する理解もより深まっていくでしょう。