はじめに
日本が世界に誇る食文化のひとつ、お寿司。その中でも特に人気の高いネタといえばマグロです。
しかし、この美味しいマグロを健康に育てる影の立役者がいることをご存知でしょうか?
それは、サメです。
一見、マグロとは関係のなさそうなサメですが、マグロが美味しく食べられるのは、実はサメのおかげかもしれないのです。
その驚きの理由を詳しく見ていきましょう。

サメがマグロの健康管理をしている?
北海道大学名誉教授の仲谷一宏さんによると、マグロは海の中でサメに体当たりをすることがあるそうです。
なぜ、そんなことをするのか?その理由は、寄生虫を落とすためだと言われています。
西オーストラリア大学の調査によると、マグロなどの魚は、寄生虫がつきやすい頭部やエラブタ、胸びれなどを、サメの体にこすりつけることが多いと報告されています。
つまり、マグロはサメを「クリーニングブラシ」のように使って、体についた寄生虫を落としているのです。
寄生虫が少ないマグロは、健康に育ち、結果として私たちが美味しく食べることができるというわけです。
サメ肌の秘密「楯鱗(じゅんりん)」
では、なぜサメの体にこすりつけると寄生虫が取れるのでしょうか?
その理由は、サメの体を覆う特殊なウロコ「楯鱗(じゅんりん)」にあります。
サメの肌を電子顕微鏡で見ると、楯鱗と呼ばれるエナメル質でできた硬いウロコが並んでいることが分かります。
この楯鱗は、表面がギザギザしており、マグロがこすりつけると、その凹凸に寄生虫が引っかかって落ちる仕組みになっているのです。
マグロにとって、サメは単なる捕食者ではなく、「海のエステティシャン」のような役割も果たしているのかもしれません。
どれほどの効果があるのかは現在も研究が進められていますが、サメがマグロの健康維持に貢献している可能性は非常に高いと考えられています。
サメ肌は私たちの生活にも役立っている!
サメ肌の効果は、海の中だけではありません。実は、人間の生活にも大いに役立っているのです。
ワサビおろし板として活躍!
サメ肌は、そのギザギザした質感がワサビをすりおろすのに最適とされています。
実際に、「サメ皮おろし板」は、高級寿司店などでも使用されており、ワサビの風味を最大限に引き出すことができると評判です。
美味しい寿司を引き立てるワサビも、実はサメの恩恵を受けているのですね。
空気抵抗を減らす効果でエコ技術にも貢献!
サメ肌には、空気や水の抵抗を減らす効果があることが分かっています。
その特性を応用し、現在では飛行機の外装にサメ肌の構造を模した特殊な素材を使用する研究が進められています。
これにより、燃料の消費を減らし、CO2排出量の削減にもつながると期待されています。
まとめ
マグロが健康に育つために、サメが体を提供して寄生虫を落とす役割を果たしているというのは、まさに自然の絶妙なバランスです。
さらに、サメの肌は私たちの食文化や最先端技術にも応用され、幅広く貢献しています。
「サメは怖い捕食者」というイメージを持つ人も多いかもしれませんが、実はお寿司の美味しさにも貢献している立役者だったのです。
次にマグロのお寿司を食べるときは、「この美味しさはサメのおかげかもしれない」と、ちょっとだけ思い出してみてはいかがでしょうか?