はじめに
「上級国民」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、特権を持つ一部の人々を皮肉った言葉として使われることが多く、特にSNSやネット上で話題になることが多いワードです。
もともとは一般的な言葉ではありませんでしたが、ある事件をきっかけに広まり、今では「権力や地位を持つ人が優遇される社会」を象徴する言葉として使われるようになりました。
今回は、「上級国民」という言葉の意味や由来、使われ方について詳しく解説します。
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「上級国民」とは?
「上級国民」とは、一般市民よりも特権的な立場にあるとされる人々を指すネットスラングです。
具体的には、政治家、高級官僚、大企業の幹部、著名な文化人など、社会的地位や財力を持つ人々を指して使われることが多いです。
この言葉には、「社会的に優遇され、不公平な扱いを受ける人々」という皮肉や風刺の意味が込められています。
ただし、「上級国民」という言葉は公式な用語ではなく、あくまでネット上で生まれた俗語です。
「上級国民」という言葉の由来
「上級国民」という言葉が広く使われるようになったのは、2019年に発生したある交通事故がきっかけです。
池袋暴走事故(2019年)
2019年4月、東京都・池袋で発生した交通事故が話題となりました。
高齢の元官僚が運転する車が暴走し、母子2人を死亡させ、多くの負傷者を出す大事故となりました。
しかし、この事故で加害者となった元官僚は「逮捕されなかった」ことが大きな議論を呼びました。
通常、交通事故で死亡事故を起こした場合、加害者はその場で逮捕されるケースが多いですが、警察は「逃亡の恐れがない」として逮捕を見送りました。
この対応に対し、「もし一般人なら即逮捕されていたのでは?」という疑問がネット上で噴出。
そこから「この人は『上級国民』だから特別扱いされているのでは?」といった皮肉が広まり、「上級国民」という言葉が定着しました。
「上級国民」の使われ方
「上級国民」という言葉は、以下のようなシチュエーションで使われることが多いです。
権力者や高所得者の優遇を批判する際
- 政治家や官僚が不祥事を起こしても、ほとんど処罰されない
- 大企業の経営者が法律違反をしても、軽い処分で済む
このようなケースでは、「結局、上級国民は守られるんだな」と皮肉を込めて使われることがあります。
不公平な扱いを感じたとき
- 一般人は重い税負担を強いられるのに、大企業や富裕層には減税措置がある
- 学歴や家柄によって、明らかに有利な立場にいる人がいる
こうした不平等な状況に対して、「やっぱり上級国民には敵わない」といった風に使われることがあります。
ネットミーム(ネタとして)
「上級国民」という言葉は、社会問題の批判だけでなく、ジョークやネットスラングとして使われることもあります。
例えば、高級車に乗っている人や高級レストランで食事をする人に対して、「さすが上級国民ですね」と冗談交じりにコメントするような使い方です。
「上級国民」という言葉に対する批判
「上級国民」という言葉には、社会の不公平さを指摘する意味合いがある一方で、過剰な攻撃や陰謀論につながるケースもあります。
- 「上級国民だから処罰されない」という決めつけ
実際には、元官僚の事故もその後裁判で有罪判決が下されており、完全に「特別扱い」されたわけではありません。
しかし、一部では「権力者は法で守られている」という誤解が広がりました。 - 特定の職業や立場の人に対する偏見
政治家や官僚、大企業の経営者といった職業に対して、「すべての人が不正をしている」というような偏った見方につながる可能性もあります。 - 感情的な批判がエスカレートするリスク
「上級国民」という言葉が広まることで、社会の不満が特定の個人や団体への攻撃に向かうケースもあります。
そのため、この言葉を使う際には、事実と感情を切り分けて冷静に考えることが大切です。
まとめ
「上級国民」とは、社会的に優遇されているとされる人々を皮肉ったネットスラングであり、特に2019年の池袋暴走事故をきっかけに広まりました。
政治家や官僚、大企業の経営者が不祥事を起こしても軽い処分で済むケースがあるなど、社会における不平等や特権意識に対する批判として使われることが多いです。
しかし、単なる感情的な批判や誤った決めつけにならないように、冷静な視点で社会の問題を考えることが重要です。
「上級国民だから悪い」という単純な考え方ではなく、本当に問題のある仕組みをどう改善すべきかを考えることが、より良い社会につながるのではないでしょうか?